誰かがあくびをした瞬間、自分も思わず「ふわあ〜」となった経験、ありませんか?
テレビであくびをしている人を見ただけでうつることもありますし、「あくびをうつる」という言葉を読んだだけで口が開きかけた……なんてことも。あくびがうつるのはなぜなのでしょうか?その答えは、じつは私たちの脳の深いところにひそんでいます。
もしまる家の4人と一緒に、あくびの不思議を解き明かしていきましょう!
もしもさ〜!なんでパパがあくびしたら、ぼくもあくびが出てくるの!?パパのあくびがうつってくるんだけど!



おっと、それは今まさにパパも考えてたところだぞ。実はな……あくびがうつるのには、脳のすごい仕組みが関係しているんだよ。



脳のしくみ?なんで脳があくびをうつすの?それってどういうこと?
え〜!あくびって病気みたいにうつるけど、脳が関係してたの!?なんだかワクワクしてきた♪
🌟 もしまるクイズ!
あくびがうつりやすいのはどんなときでしょう?
🤔 どれだと思う?タップで答え合わせ!
💡 答え:親しい相手といるときや、ストレスを感じているとき
そもそもあくびって何のためにするの?
あくびを解き明かす前に、まず「あくびそのもの」の役割を知っておきましょう。
あくびとは、口を大きく開けて空気をたっぷり吸い込み、ゆっくり吐き出す動作のことです。一回のあくびは平均6秒ほどかかります。人間だけでなく、犬・猫・魚・爬虫類(はちゅうるい)など多くの動物もあくびをします。
では、あくびの役割は何でしょうか?これについては、科学者たちがさまざまな説(考え方)を提唱しており、完全には解明されていません。現在有力とされているのは次の2つです。
説①:脳を冷やすための仕組み
「脳冷却説(のうれいきゃくせつ)」によると、あくびは口から冷たい空気を吸い込んで脳の温度を下げるためのものだといいます。眠い時や疲れた時に脳が熱くなりやすく、その温度を下げるためにあくびが起きると考えます。
説②:覚醒(かくせい)・気分転換のための反応
眠気・退屈・緊張のときにあくびが出ることから、「脳の状態を切り替えるためのスイッチ」のような役割があるという考えもあります。ランナーのスタート前や、緊張場面でもあくびが出るというのはよく知られた話です。
脳を冷やすためのあくびって、エアコンみたいじゃん!脳にエアコン機能ついてるの!?すげぇ!!



いい例えだなぁ!そう、まさに天然のクールダウン機能なんだよ。緊張した時や眠い時に脳が「ちょっと冷まして!」って信号を送るんだね。



でも、どちらの説も「まだわかっていない」んだよね?科学者もまだ研究中ってこと?



そうなんだ。科学者もまだ研究中なんだよ!だからもっとワクワクするんだ。答えがまだ決まっていない謎を、今の科学が追いかけているんだよ。
あくびがうつる「脳のしくみ」とは?
あくびそのものの役割を押さえたところで、本題の「なぜうつるのか」に入りましょう。
あくびがうつる現象を「伝染性あくび(でんせんせいあくび)」と呼びます。これは感染症(かんせんしょう)のように菌が飛ぶわけではなく、脳の「共感のしくみ」が関係しています。
人間の脳には、他者の行動を見たときに「まるで自分がその行動をしているかのように反応する」しくみが備わっています。これに深く関わっていると考えられているのが「ミラーニューロン(mirror neuron)」という脳の細胞です。
ミラーニューロンは1990年代にイタリアの神経科学者が発見しました。サルの実験中、研究者がエサを手に取ると、その場でじっとしていただけのサルの脳が「自分がエサを取ったときと同じように反応した」のです。これが「ミラー(鏡)ニューロン(神経細胞)」と名付けられた理由です。
誰かのあくびを見たとき、私たちの脳にあるミラーニューロンが活動し、「自分もあくびをしている状態」を脳の中でシミュレーションします。その結果、実際にあくびが出てしまうのです。
え〜!すごーい!誰かのあくびを見ただけで、脳が「自分もあくびしてる!」って勘違いするの!?
脳って鏡みたいに他の人の行動をコピーしちゃうんだ!!だからうつるのか!!なんかロボットみたい!!



ロボットというより、これは生き物が進化の中で身につけた「共感する力」なんだ。他者の気持ちや行動を自分のことのように感じとる、とても大切な能力なんだよ。



共感する力……それがあくびでも働いてるってこと?なんかあくびって奥が深いなあ。


ミラーニューロンってなに?共感と進化の話
ミラーニューロンが私たちにとって重要なのは、あくびをうつすためだけではありません。これは「共感(きょうかん)」や「他者を理解する力」の根本にある仕組みだと考えられています。
たとえば、誰かが転んで痛そうにしているとき、あなたも思わず「いたそう!」と感じますよね。誰かが笑っていると自分も笑いたくなる、悲しんでいるともらい泣きをしてしまう。こういった反応にもミラーニューロンが関わっていると考えられています。
進化の観点から見ると、「仲間の行動や感情を素早く読み取る能力」は集団で生活する動物にとって生き延びるうえで有利です。ただし、「ミラーニューロンだけが共感を担っている」とは言い切れないという意見も研究者の間にあり、これはまさに科学者が今も調べている「現在進行中の謎」なのです。



これ、めちゃくちゃ面白いんだぞ。ミラーニューロンがあるから、人間は他の人の気持ちを想像したり、共感したりできるかもしれないんだよ。



じゃああくびがうつるのって、ただのいたずらじゃなくて、共感する力の証明みたいなものってこと?なんかちょっとうれしいかも。
子どもって感受性豊かだから、もしかしてあくびもうつりやすいのかな。子どもってほんと好きよねぇ、こういう話。
ぼく、パパのあくびよくうつるんだよなぁ。じゃあぼくってパパに共感してるってこと!?なんかくすぐったい(笑)
動物もあくびがうつるの?
「伝染性あくび」は人間だけに起きるのでしょうか?研究によると、いくつかの動物でも同様の現象が確認されています。
チンパンジーとボノボ
私たちに最も近い動物であるチンパンジーやボノボでも伝染性あくびが確認されています。仲間のあくびを見た後にあくびをする頻度が高まることが観察され、親しい相手ほどうつりやすいという結果もあります。人間と共通した特徴です。


犬も人間のあくびがうつる
イギリスの研究では、犬が人間のあくびを見た後に自分もあくびをする確率が高まることが示されました。さらに興味深いのは、知らない人のあくびよりも、飼い主のあくびの方がうつりやすいという結果です。犬も「親しい相手への共感」があくびのうつりやすさに関係しているのです。
魚・爬虫類はどうか
魚や爬虫類もあくびをしますが、「伝染性あくび(他の個体を見てうつる)」が起きるかはまだ十分に調べられていません。ミラーニューロンのような仕組みは、ある程度高度な脳を持つ動物に限られると考えられています。
犬も飼い主のあくびがうつるの!?うちの犬にあくびしてみよう!!ぜひ試す!!
え〜!すごーい!ペットも家族のこと共感してるって思うと、もうかわいくて仕方ないよ〜!



犬でも親しい人ほどうつりやすいって、なんかかわいいね。仲いい証明みたいで。



ちょっと観察してみようか!本当に犬があくびをうつるか、実験してみよう。いい科学の探偵(たんてい)になれるぞ!
あくびがうつりやすい人は共感力が高い?
「あくびがうつりやすい=共感力が高い」という話があります。アメリカの研究では、共感力を測るテストのスコアが高い人ほどあくびがうつりやすい傾向が見られました。ただし、うつりにくい人の共感力が低いということには直接なりません。眠気・注意力・その場の状況など、さまざまな要因も影響するためです。
また、年齢との関係も研究されています。子どもは幼いほど伝染性あくびがうつりにくく、4〜5歳ごろからうつりやすくなってくるという研究があります。共感力が育つとともに、あくびもうつりやすくなっていくのかもしれません。ストレスや緊張している状態でもあくびがうつりやすいと報告されており、心が反応しやすいときほど他者の行動も感じとりやすくなると考えられています。
あくびがうつりやすい人は共感力が高いって……もしまる、パパのあくびよくうつるって言ってたよね。やさしい子なのかもね♪
やめてよ〜ママ!!でも、うつるのが共感力の証明かもしれないなら……ちょっとだけうれしいかも(小声)



もしまる照れてる(笑)でも、子どもが大きくなるにつれてうつりやすくなるってこと、成長と共感力って一緒に育つんだね。



科学って、「あくびがうつる」という身近な現象から、共感力とか進化とか脳の仕組みとか、すごく広い世界につながっていくんだよ。いいところに気づいたなぁ!
あくびがうつるのは、脳のミラーニューロンが「他者の状態を自分のことのように感じとる」からかもしれません。それは、共感する力の現れであり、何十万年もかけて人間が育ててきた大切な能力です。
次に誰かのあくびがうつったとき、「ああ、自分の脳が共感しているんだな」と思い出してみてください。あくびひとつが、人間の脳の不思議につながっていますよ。
📖 もしまる辞典
ミラーニューロン(mirror neuron):他者の行動を見たときに、まるで自分がその行動をしているかのように活動する脳の神経細胞(しんけいさいぼう)。1990年代にイタリアの研究者がサルの実験中に発見しました。「鏡(ミラー)のように他者の行動を映し出す細胞」という意味で名付けられました。共感や模倣(まねをする能力)に深く関わっていると考えられています。
伝染性あくび(でんせんせいあくび):他の人(や動物)のあくびを見たり聞いたりすることで、自分もあくびが出てしまう現象。チンパンジー・ボノボ・犬などでも確認されています。「伝染」といっても感染症(かんせんしょう)ではなく、脳の「共感のしくみ」によって起こると考えられています。
共感(きょうかん):他者の気持ちや状況を「自分のことのように感じとる」力のこと。「あの人は悲しそうだな、つらいだろうな」と感じたり、友だちが喜んでいると自分も嬉しくなったりするのが共感です。ミラーニューロンとの関係が研究されており、共感は人間の社会生活を支える大切な能力の一つです。
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