なんで虫は光に集まるの?理由と虫よけの選び方

夏の夜、玄関の明かりやキャンプのランタンに、小さな虫がたくさん集まってくる——。誰もが一度は見たことのある光景ですよね。「なんでわざわざ光に向かっていくんだろう?」と不思議に思ったことはありませんか?

「光があったかいから?」「光が好きだから?」——実は、どちらもちがうと考えられています。その大きなヒントは、虫たちの「飛び方のひみつ」にかくされているのです。

前回の「キャンプで見つけた生き物、実はこんな名前だった!」でも少しだけ触れた、虫と光の関係。今日はそのひみつを、もしまる家といっしょにじっくり掘り下げていきましょう!


もしまる君

もしもさ〜!夜の電気に虫がいっぱい集まってくるじゃん?あれって、虫が光のこと好きだから集まってくるんでしょ?

なでなちゃん

でもさ、好きなだけだったら、なんでぐるぐる回っちゃうんだろ?まっすぐ行けばいいのに。

ぽかママ

ママ、夜に窓あけると虫が入ってくるの、ほんと困ってるのよ〜!なんとかならないの?

ワクパパ

ふふ、いいところに気づいたな、なでな。実はあれ、虫は光が好きで来てるんじゃないんだ。本当の理由を知ったら、虫よけのコツまでわかっちゃうぞ!


目次

まずはクイズ!虫が光に集まる理由はなぜ?

🌟 もしまるクイズ!

「夜、虫が光に集まってくる理由として、今いちばん有力とされている説はどれ?」

A)光があたたかくて気持ちいいから  B)明るいほうを空だと思って、体のかたむきがくるうから

C)光の中にエサがあると思っているから  D)仲間に集合の合図を送っているから

もしまる君

Aだよ!あったかいから集まってくるんだって!

なでなちゃん

……うーん、迷う。まっすぐ飛べてないんだから、「好きで集まってる」だけじゃない気がするんだよね。

🤔 どれだと思う?タップで答え合わせ!

答えは……B)明るいほうを空だと思って、体のかたむきがくるうから!

じつは長いあいだ「月とまちがえているから」と考えられてきました。でも2024年の研究で、どうやらちがうらしいと分かってきたんです。ここから、虫の「飛び方のひみつ」を見ていきましょう。


虫は「明るいほうが空」だと思って飛んでいる

飛んでいる虫にとって、いちばん大事なのは「どっちが上か」を見失わないことです。上下が分からなくなったら、まっすぐ飛べませんよね。

そこで虫は、とてもかんたんなルールを使っています。「明るいほうが空」——つまり、背中を明るいほうへ向けていれば、自然と上を向いて飛べるというルールです。自然の中では、空はいつも地面より明るいので、これでうまくいきます。

このしくみは背光反射(はいこうはんしゃ)と呼ばれています。目で見て考えているのではなく、体が勝手にかたむきを直す反射です。人間が自転車でバランスを取るときに、いちいち計算していないのと似ていますね。

なでなちゃん

えー!虫って、明るいほうを空だと思ってるんだ。かしこい!

ワクパパ

そうなんだ。だから虫は、背中をいつも明るいほうへ向けて飛んでいるんだ。


近くの明かりが「ニセモノの空」になってしまう

問題は、近くにランタンや街灯があるときです。虫にとっては、その明かりが空よりも明るい——つまりニセモノの空になってしまいます。

虫は背中をその明かりへ向けようとして、体をかたむけます。飛びながら背中を向けつづけるので、進む向きはどんどん曲がっていき、結果として光のまわりをぐるぐる回りこんでしまうのです。抜け出そうとしても、背中を向けるルールが働くかぎり戻ってきてしまいます。

2024年に高速カメラで飛び方を調べた研究では、虫は光に向かって飛んでいるのではなく、光を横切るように飛んでいることが分かりました。光の位置を切りかえると、虫はすぐに回る向きを変えます。これは「遠くの目印を頼りにしている」という考え方では説明がつきません。

つまり虫は、光が好きで集まっているのではなく、「上を向いて飛んでいるつもり」が、いつのまにか光に巻き込まれてしまっているというわけなんですね。

ちなみに、少し前までは「虫は月をコンパスにしていて、明かりを月とまちがえる」と説明されるのがふつうでした。いまも本やネットでよく見かける話です。2024年の研究でこの説明は見直され、背光反射のほうが有力になりました。science は、こうやって少しずつ答えを更新していくんですね。

もしまる君

えーー!!好きで来てるんじゃなくて、迷子になってたの!?なんかかわいそう……!

ぽかママ

そう聞くと、ちょっとだけやさしい気持ちになれるかも……(虫は苦手だけど!)

虫は背中を明るいほうへ向けて姿勢を保つが、近くの明かりでは背中を向けつづけて光のまわりを回ってしまうしくみの図解

集まりやすい光と、集まりにくい光がある

実は、すべての光に同じように集まるわけではありません。光の「色(波長)」によって、虫の集まりやすさが変わるのです。

光の色虫の集まりやすさ
紫外線(しがいせん)・青白い光集まりやすい 😣
白い光(昔ながらの蛍光灯など)集まりやすい
黄色っぽい光(電球色)集まりにくい
赤・オレンジ系の光とても集まりにくい 😊
青白い光や紫外線には虫が集まりやすく、オレンジ色の光には集まりにくいことを比べた図解

多くの虫は、人間には見えない紫外線や青白い光に強く引き寄せられます。逆に、赤やオレンジ系の光にはあまり反応しません。

この性質を利用したのが、キャンプ用品などで売られている「虫が寄りにくいランタン」です。紫外線を出さず、虫が反応しにくいオレンジ系の光を使うことで、虫が集まるのをぐっと減らしているのです。夜のテントを少しでも快適にしたいときの、かしこい選び方ですね。

なでなちゃん

だから虫よけライトはオレンジっぽい色なんだ!ちゃんと理由があったんだね。

ワクパパ

いいところに気づいたなぁ!科学を知ると、道具選びまで上手になるんだ。


ホタルは「自分で光る」ふしぎな虫

ここまでは「光に集まる虫」の話でしたが、虫の中には自分で光るびっくりな虫もいます。そう、夏の夜の主役・ホタルです。

ホタルのおしりが光るのは、体の中にある「ルシフェリン」という物質が、「ルシフェラーゼ」という酵素(こうそ)と酸素の力で反応するからです。この反応では、ほとんど熱を出さずに光だけが生まれます。だからホタルの光は、さわっても熱くない「冷たい光」なんですね。

では、ホタルはなぜ光るのでしょう?それは、オスとメスがおたがいを見つけるためのサイン。光り方のリズムでなかまと会話をしているのです。光は、虫にとって「目印」にも「合図」にもなる、とても大切なものなんですね。

もしまる君

えっ!ホタルの光ってあったかくないの!?光ってるのに熱くないなんて、まほうみたい!!

ワクパパ

人間の作る電球は熱くなるけど、ホタルの光はほとんど熱を出さないんだ。科学でもまだ完全にはマネできない、すごい技術なんだぞ。

ホタルがルシフェリンと酸素の反応でおしりを光らせる、熱の出ない冷たい光のしくみの図解

光が増えすぎると虫が困る?「光害」のはなし

最近、「光害(ひかりがい)」という言葉が注目されています。街灯・ネオン・窓から漏れる光など、夜でも人工の光があふれる現代。これが、虫をはじめとする生き物の生活リズムをくるわせているのです。

夜の街灯や外灯の光に、大量の虫が集まって命を落としてしまうことがあります。本来なら空を目印に飛べるはずの虫が、人工の光に迷い込んで消耗してしまうのです。これは虫の数が減る原因のひとつになっています。

とくに、ホタルは光害の影響を受けやすい生き物です。ホタルは光でオスとメスがコミュニケーションをとるため、まわりに明るい光があると相手の光が見えにくくなり、なかまを見つけられなくなってしまいます。昔はたくさん見られたホタルが減っているのは、光害も大きな理由のひとつです。

ぽかママ

ホタルが減ってるのって、明かりが増えすぎたせいもあったのね……。虫よけだけ考えてたけど、生態系にも影響してたんだ。

なでなちゃん

キャンプのランタンも、必要な時だけつけるとか、虫に優しい色を選ぶとか、できることがあるかも。

わたしたちにできることとして、「必要な場所だけに・必要な時間だけ」明かりをつける意識がとても大切です。キャンプや夜の外出では、虫が集まりにくいオレンジ系のランタンを使うだけでも、自然にやさしい選択になります。小さなことの積み重ねが、虫や生き物の生きやすい夜を守ることにつながっているのですね。


まとめ|光は虫にとって「空のしるし」だった!

  • 虫は「明るいほうが空」として背中を明るい側へ向け、姿勢を保っている(背光反射)
  • 近くの明かりがニセモノの空になり、背中を向けつづけてまわりをぐるぐる回ってしまう
  • 虫は光が好きなのではなく、「上を向いて飛んでるつもり」で迷い込んでいる
  • 紫外線・青白い光に集まりやすく、赤・オレンジ系には集まりにくい
  • 虫よけライトは、虫が反応しにくい光を使ったかしこい道具
  • ホタルはルシフェリンと酸素の反応で、熱を出さずに自分で光る
なでなちゃん

光ひとつでも、こんなにいろんなひみつがあるんだね。ちゃんとわかった!

もしまる君

次のキャンプ、オレンジのランタン持ってく!そんで、ホタルもさがす〜!!

ワクパパ

いいなぁ、それ!科学を知ると、夜の楽しみ方まで変わってくる。知るって、ワクワクするだろ?


💡 もしまる辞典|今日のことば

走光性(そうこうせい)虫などの生き物が、光の方へ向かって動く性質のこと。逆に、ゴキブリのように光から逃げる性質は「負(ふ)の走光性」というよ。なお、夜の虫が明かりに集まるのは、光そのものに引き寄せられているというより、背中を明るいほうへ向けて姿勢を保とうとする背光反射のせいだと考えられているよ。

波長(はちょう)光が持っている「色のちがい」を表すもの。光は波のように進んでいて、その波の長さによって赤・青・紫などの色が決まるんだ。虫が見える色と、人間が見える色はちょっとちがうよ。

紫外線(しがいせん)人間の目には見えない光のひとつ。日やけの原因にもなる光だけど、虫の多くはこの紫外線をよく感じとって、集まってくるんだ。

酵素(こうそ)生き物の体の中で、いろいろな反応のお手伝いをする物質のこと。ホタルが光るときの「ルシフェラーゼ」も酵素のなかま。少しの量でも、大きな反応を助けてくれるよ。


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👉 キャンプ場で出会える生き物については、「キャンプで見つけた生き物、実はこんな名前だった!」もあわせてどうぞ。

最後まで読んでくれてありがとうございます!次の「もしも?」「なんで?」でもお会いしましょう🌟

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生き物や科学のちいさな「なんで?」を、毎日ひとつぶやいています。親子の会話のネタ探しに、よかったらのぞいてみてください。

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この記事を書いた人

もしまる家のパパ。ふだんは科学にたずさわる仕事をしている、2児の父です。毎週末、子どもたちと公園や野山で生き物探し。趣味はテニス。難しい科学を“勉強”じゃなく“冒険”として、親子で楽しむコツを発信しています。子どもの「もしも?」「なんで?」が大好物です。

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