


ようこそ、ワクパパ魔法研究所へ。今日はな、台所にある“ある白い粉”で、沈んだ卵を、指も使わずに浮かせてみせよう
えっ、卵が浮くの!?さっき水に入れたら、ドスンって沈んだよ!



白い粉……お砂糖?小麦粉?



ふふ。まあ見ていなさい。
まずクイズ!ちゃんと溶かしたのに、どうなった?
🌟 もしまるクイズ!
「コップの水に、塩を大さじ1杯。しっかりかき混ぜて、完全にとかしました。さて、卵はどうなった?」
A)ぷかりと浮かんだ
B)沈んだまま
C)とちゅうで止まった
とかしたんでしょ?じゃあAだよ、浮いたに決まってる!
1杯って、そんなに多くない気もするけど……



「ちゃんととかした」って書いてあるのが、逆にあやしいなあ。
🤔 どれだと思う?タップで答え合わせ!
答えはB)沈んだまま。
わが家では、1杯では足りませんでした。ではいったい何杯で浮いたのか。そしてなぜ「入れた杯数」では決まらないのか——この先で、実際にやった記録をぜんぶ書きます。
「卵が塩水に浮く」は、科学実験の中でも昔からある定番です。調べれば、やり方はいくらでも出てきます。
でも実際にやってみたら、書いてあるとおりにやったのに、ぜんぜん浮きませんでした。
この記事では、わが家で本当に起きたことを、失敗もふくめて全部書きます。なぜ浮かなかったのか——その理由が、この実験のいちばんおもしろいところでした。
用意するもの


- 生卵 2個(同じパックのもの)
- 食塩(食卓塩でOK)
- 透明なコップ 2個(同じ形のもの)
- 大さじ(計量スプーン)
- 水 200ml ×2
- 菜箸、または柄の長いスプーン
全部おうちにあるもので足ります。買ったものはありません。
⚠️ 生卵はすべりやすいので、コップに入れるときは低い位置から。実験がおわったら、手を洗いましょう。実験のあとの卵は、洗って加熱すれば食べられます。
まず、ほんとうに沈むのか
魔法をかける前に、大事なことを確かめます。


水は200mlずつ。ここは正確にそろえます。あとで片方にだけ塩を入れるので、ちがうのは「水の中身」だけにしておかないと、くらべる意味がなくなってしまうからです。
そこへ、卵を1個ずつ、そっと入れます。


そーっと、そーっと……


2つとも、しっかり沈みました。
これで「この2個の卵は、同じように沈む卵だった」ことがはっきりしました。あとで片方が浮いたときに、「卵がちがったんじゃないの?」と言われずにすみます。



ちゃんと両方しずむね。じゃあ、ここからどうするの?
塩を入れる。1杯ずつ、たしかめながら


いっぱい入れちゃえ!



まあまあ、1杯ずつな。何杯で浮くかを数えるのも、この実験の楽しみだから
💡 ここがポイント
やり方はこうしました。大さじ1杯入れる → 底を見る → 卵はどうか → よく混ぜて溶かす → もう一度、卵はどうか。これを、浮くまでくり返します。1回ごとに確かめるのが大事でした。
1杯目。入れた直後、塩は底に白くたまっています。卵は沈んだまま。よく混ぜて、水が透明にもどるまで溶かしました。それでも沈んだままです。


2杯目。同じことが起きました。入れた直後は底にたまり、卵は沈んだまま。混ぜて溶かす。やっぱり浮きません。
えっ、こんなに入れたのに!?
3杯目。入れた直後は、やはり底に白くたまっています。ここで混ぜはじめると——



あ、ちょっと浮いてきた……?
まだ底には塩が残っています。さらに混ぜて、完全に溶かしきったところで、卵はぷかりと浮かびました。


うわっ、浮いた!浮いた浮いた!



……そうか。そういうことか
混ぜるのが、いちばん大変だった
やってみて分かったことがあります。卵が入っていると、混ぜにくいのです。
コップの底には塩がたまっています。でも、そこには卵もいます。菜箸を入れると卵に当たって、うまく回せません。


そこで1杯目は、卵を指でつまんで持ち上げながら混ぜてみました。底までしっかり回せます。ただ、片手がふさがるので、けっこう疲れます。


2杯目からは、いったん卵を取り出してから混ぜることにしました。これがいちばん速くて、手もぬれません。


底の白い粒が、ぜんぶ見えなくなるまで混ぜます。水がすっかり透明にもどってから、卵をそっと戻しました。
決めていたのは「溶けた塩の量」だった
3回くり返して、はっきりしたことが2つあります。
💡 ここがポイント
塩を入れただけでは、水は重くなりません。底にたまっている塩は、そこに置いてあるだけ。水の重さには関係していない。1杯目も2杯目も3杯目も、入れた直後は必ず沈んだままでした。
💡 ここがポイント
でも、溶かせば必ず浮くわけでもありませんでした。1杯目も2杯目も、ちゃんと溶かしたのに浮かなかった。量が足りなかったからです。
つまり決めていたのは、溶けた塩の量でした。入れた量でもなく、溶けたかどうかでもなく、その両方がそろった量。



「塩を入れた」と「塩がとけた」は、ぜんぜん違うことなんだ。そして、とけていても足りなければ浮かない



じゃあ混ぜるのって、ただのお手伝いじゃなくて、実験の一部なんだ
そのとおりです。混ぜることが、この実験でいちばん大事な作業でした。
なんで、塩がとけると浮くの?
ものが水に浮くか沈むかは、「同じ大きさでくらべたとき、どちらが重いか」で決まります。
卵は、同じ大きさの真水よりほんの少しだけ重い。だから沈みます。
そこに塩がとけると、水は「ぎゅっと重い水」に変わります。とけたぶんだけ、同じ大きさでも重くなる。そして水のほうが卵より重くなった瞬間、卵は押し上げられて浮かびます。
重い水のほうが、押す力が強いってこと?



そう。プールより海のほうが体が浮きやすいのも、これと同じ理由だよ。海の水には塩がとけているからね
その海の塩が、そもそもどこから来たのかはなんで海は塩辛いの?川の水は塩辛くないのにで書いています。
気づいたこと:浮くとき、丸いほうが上を向いた
ねえ、賞味期限が書いてあるほうが、上になってる!


見てみると、たしかに丸いほうが上を向いて浮いています。とがったほうが下。沈んでいるほうの卵は横になっているのに、浮いた卵は縦に立っていました。
卵の丸いほうには、気室(きしつ)という空気の部屋があります。農林水産省のページにも「たまごの丸いほう(鈍端部)に気室を作る」と書かれています。空気は水より軽いので、その部屋がある側が上を向いたのだと考えられます。



卵の中に、お部屋があるんだ……
この気室は、時間がたつとだんだん大きくなるそうです。中の水分が、殻を通してすこしずつ蒸発していくからです。
ちなみに:真水で浮いたら、その卵は古い
ここまでの話をひっくり返すようですが、塩を入れていない真水でも、卵が浮いてくることがあります。
さっき書いたとおり、気室は日がたつほど大きくなります。空気の部屋が大きくなれば、卵はそのぶん軽くなる。だから古い卵は、真水でも浮いてくるのです。
💡 ここがポイント
これ、台所でそのまま使えます。
・横になって沈む → 新しい
・とがったほうを下にして立つ → すこし日がたっている
・浮いてくる → 古い
今回の実験で、2つとも横になって沈んだのを覚えていますか。あれはどちらも新しい卵だった、ということでもありました。



実験のついでに、卵の新しさまで分かっちゃった
⚠️ ただし、これは目安のひとつです。浮いたからといってすぐ捨てなくて大丈夫。気になるときは割って、においや色をたしかめてください。
もっとすごい魔法:卵を「水の途中」で止める
ここからは応用編です。卵を、コップの真ん中で止めてみます。
使うのは食紅(食用色素)。No.1でも使った、100円ショップのものです。




食紅はびっくりするほど少しで色がつきます。つまようじの先につけるくらいから始めてください。入れすぎると水がにごって、中の卵が見えなくなってしまいます。
- さっきの濃い塩水(200ml)に色をつける
- その上に、真水100mlを、スプーンの背に伝わせてそーっと注ぐ
- 最後に卵を、そっと入れる
💡 ここがポイント
2の注ぎ方がすべてです。勢いよく入れると一瞬で混ざります。スプーンの背をつたわせて、水がすべり落ちるように。1回で成功しないつもりでやると、気が楽です。


うわ、線がある!水の中に線がある!
そして、卵を入れると——


止まった!!落ちてこない!



……なんで?下まで行かないの?
上の真水では沈み、下の塩水では浮く。だから、その境目で止まります。「沈む」と「浮く」が、ちょうど入れかわる場所です。
最後に、混ぜてみる
きれいな2層ができたところで、あえて混ぜてみました。




あーー!沈んじゃった!



そう。上の真水と混ざって、塩水がうすくなったからね
濃い塩水も、真水でうすめれば、卵を支えられなくなります。
さっきの「溶け残っていると浮かない」と、これは同じことを言っています。大事なのは塩の量ではなく、水にとけている塩の濃さなのです。
💡 ここがポイント
塩は、1杯も減っていません。
・水200ml + 塩大さじ3 → 浮いた
・そこに真水を100ml足した(塩はそのまま) → 沈んだ
ふえたのは水だけなのに、卵は沈みました。卵を浮かせているのは、塩が「何杯か」ではなく、水の中に塩がどれくらいぎゅっと入っているかなのです。
わかったこと 3つ
- 入れただけでは浮かない。溶けて初めて、水は重くなる
- 溶かしても、量が足りなければ浮かない。決めているのは溶けた塩の量
- 浮くときは、丸いほうが上を向く。そこに気室という空気の部屋があるから
おうちでやるときのコツ
水の量は、2つとも同じにする。計量カップがなければ、1つ目に入れた高さに油性ペンで印をつけて、2つ目をそこに合わせるだけでも大丈夫です。
1杯ずつ、たしかめながら足す。まとめて入れると、何杯で浮いたのかが分からなくなります。自由研究にするなら、ここが記録のしどころです。
混ぜるときは、卵をいったん出す。そのほうが速いですし、手もぬれません。
コップは、まっすぐで単層のものを。二重構造のグラスは、水面の線が2本に見えて分かりにくくなります。
「重い水」と「軽い水」の話は、氷が水に浮く理由ともつながっています。もしも水が凍らなかったらもあわせてどうぞ。
この実験を自由研究にするなら、自由研究のテーマが決まらない小学生へに、まとめ方の型を書いています。
もしまる辞典
🔍 密度(みつど)
同じ大きさでくらべたときの重さ。塩がとけた水は、真水より密度が大きい(=重い)。ものが浮くか沈むかは、そのものと水の密度をくらべて決まる。
🔍 気室(きしつ)
卵の丸いほう(鈍端部)にある空気の部屋。時間がたつと、中の水分が殻を通して蒸発し、だんだん大きくなる(農林水産省)。
🔍 浮力(ふりょく)
水が、水の中のものを押し上げる力。水が重いほど、この力は強くなる。海で体が浮きやすいのは、海水が真水より重いため。
🧰 もっと実験してみたい子へ
「もっといろんな実験がしたい!」となった子には、とけ方をまとめて試せるキットがあると、週末がまるごと“小さな研究所”に変わります。塩・ミョウバン・ホウ酸で、とけ方のちがいまで見られます。
🔖 ほかの研究ファイル(ワクパパ魔法研究所)
- セリアの食紅でできる!おうち科学実験5選(No.1)
- なんで牛乳の色が動くの?(No.3・近日公開)
- なんで塩と氷でアイスが作れるの?(No.4・近日公開)
- なんで水は紙をのぼるの?(No.5・近日公開)
次はお砂糖でもやってみたい!塩じゃなくてもいけるのかな?



お、いい質問だ。それはまた今度、研究しよう



混ぜるのが大事っていうの、なんか他のことにも使えそうだよね



するどいな。「入れた」と「効いてる」は別のこと——これ、料理でも勉強でも同じだぞ
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