朝、庭や公園で光に輝くクモの巣を見たことがありますよね。細くて繊細なのに、虫がかかるとちゃんとくっついて逃げられない。
でも、その巣を作ったクモ自身は、なぜ引っかからないの?——このシンプルな疑問、実はとっても奥深いんです。
ねえ!クモって自分の巣に引っかからないじゃん!なんで!?同じ糸なのに!
言われてみれば……クモが自分の巣でばたばたしてるの見たことないね。



油を塗ってるとか……?足に何かついてるのかな。



なでなちゃん、かなり正解に近い!実は答えは1つじゃなくて、いくつかの工夫が組み合わさってるんだよ。
まずクイズ!クモが巣に引っかからない理由は?
🌟 もしまるクイズ!
「クモが自分の巣に引っかからない理由、正しいものはどれ?」
A)クモの足には特別な油がついているから
B)粘着性のある糸と粘着しない糸を使い分けているから
C)クモは体が軽いから引っかからない
D)AとBの両方が正しい
Aかなぁ……でもBも「使い分け」ってすごく正解っぽい!
体が軽いから……は違う気がする。小さな虫もくっつくんだから重さは関係ないよね。



うーん、どれも本当っぽくて選べない……。ひっかけの気もするし、わたしはまだ決めない!
🤔 どれだと思う?タップで答え合わせ!
答えはD!AとBの両方が正しい!
クモが自分の巣に引っかからない秘密は、主に2つの工夫の組み合わせです。
秘密①:粘着する糸としない糸を使い分けている
クモの巣をよく見ると、2種類の糸でできています。
縦糸(たてい):巣の中心から放射状に伸びる糸。粘着性がない。硬くて強い糸です。
横糸(よこいと):縦糸に巻きつくように張られたらせん状の糸。粘着性がある。虫が触れるとくっつく糸です。
クモは移動するとき、粘着しない縦糸の上を歩きます。粘着する横糸には、できるだけ触れないように動いているんです。
えー!同じ糸じゃないの!?種類が違ったんだ!



縦糸を足がかりにして横糸を避けて歩く……クモって賢い!



しかも、縦糸と横糸は糸のもと(材料)からしてまったくの別物で、それぞれ専用の出し口(糸疣(いといぼ))から作り分けているんだよ。


秘密②:足に特別な油がついている
2つ目の工夫は、クモの足にあります。
クモの足には油性の物質が分泌されていて、これが粘着糸への接触を防いでいます。油と水が混ざらないように、油性の成分が粘着糸の粘り気を弱める働きをしているんです。
また、クモの足の先端(爪)は特殊な構造になっていて、糸に「引っかかる」のではなく「つかむ」ように動きます。接触面積を最小限にしながら移動することで、くっつきにくくしています。
足に油がついてるの!なでなちゃんの予想、合ってたじゃん!



えへへ……でも使い分けの糸の話は知らなかった。
糸の使い分け+足の油、2段構えで対策してるんだね。


クモの糸、実はすごい力もち!
せっかくなので、クモの糸のおどろくほどすごい力も紹介しましょう。
クモの糸(縦糸)は、同じ重さでくらべると鋼鉄の約4倍の強さがあります。「同じ太さ」でくらべると鋼鉄のほうが強いのですが、クモの糸はとても軽いので、重さあたりでは勝つのです。さらにすごいのがねばり強さ——切れるまでに力をすいこむ量は鋼鉄の約7倍。しかも伸びてもちぎれない弾力性も持っています。この強さと軽さを両立した素材は、現在の科学技術でもなかなか再現できないもので、医療用の縫合糸や防弾チョッキへの応用研究が世界中で進められています。
鉄より強い!?あんな細い糸が!?



しかも軽くて弾力もある。人間がまだ真似できない究極の素材なんだよ。



クモって……めちゃくちゃ高性能な生き物だったんだね。
クモの巣はアミ型だけじゃない!種類いろいろ
クモの巣といえば丸いアミ状を思い浮かべますが、実は形はクモの種類によってさまざまです。
円形網(えんけいもう):よく見るアミ型。ジョロウグモやコガネグモが代表的。縦糸+横糸の二重構造で、光に輝いて美しい。
じょうごもう(漏斗型巣):すり鉢型(漏斗状)に広がった巣。巣の奥に虫が落ちると出られない構造になっている。地面近くの草むらによく見られる。
シート型巣:水平に広がったシート状の巣。上に張り巡らした糸に虫が当たって落下し、シートの上に乗ったところを捕まえる。
土管型巣:土や枯れ葉でトンネルを作り、入口に糸を張って待ち伏せするタイプ。キシダグモの仲間が代表的。
巣を作らずに地面を歩き回って獲物を直接狩るクモもいます。クモの巣は種ごとに設計が異なる、まさに職人技の世界です。
形がこんなにちがうの!?公園でいろんな種類を探してみたくなってきた!



すり鉢型の巣に落ちたら出られないの……よく考えた罠だよね。



それぞれの形が、そのクモが住む環境や狩りの方法に合わせて進化してきたんだよ。
クモの巣はなぜ雨や風でも壊れないの?
クモの糸が鉄より強い、というだけでなく、巣全体の「設計」も驚くほど工夫されています。
円形網(アミ型の巣)を例にとると、縦糸が骨格の役割を果たし、横糸がらせん状に補強しています。強風にあおられても、縦糸が弾力性でたわみながら衝撃を吸収し、簡単には壊れません。
また、クモの糸には「濡れても強さが落ちない」という特徴があります。雨で糸が濡れたとき、普通の繊維は弱くなりますが、クモの糸は水を含んでもほとんど強度が変わりません。朝露で輝くクモの巣が壊れないのは、この性質のおかげです。
クモは壊れた部分を自分で修理することもできます。古くなった横糸を外して新しい横糸を張り直す「補修行動」が観察されており、巣を長持ちさせる工夫も怠りません。
雨に濡れても強いし、壊れたら自分で直せるし……クモの巣って本当に高性能だ!
朝にキラキラ光るクモの巣って、あれ朝露がついてるんだよね。壊れないのも当然だったんだ。



縦糸と横糸を使い分け、雨に強く、自分で修理もできる。クモの巣は自然が生み出した最高の建築物のひとつだよ。
もしまる辞典
🔍 縦糸(たていと)と横糸(よこいと)
クモの巣は2種類の糸でできている。放射状に伸びる縦糸(粘着なし)と、らせん状に巻かれた横糸(粘着あり)。クモは粘着のない縦糸の上だけを選んで歩くため、自分では巣に引っかからない。縦糸と横糸は材質が異なり、専用の糸疣(いといぼ)から別々に作り分けられる。
🔍 粘着性(ねんちゃくせい)
物がくっつく性質のこと。クモの横糸はこの粘着性を持っており、触れた虫を逃がさない。横糸についた粘着性の小さな玉(粘着球)がらせん状に並び、接触した虫をとらえる仕組みになっている。
🔍 糸疣(いといぼ)
クモのお腹にある糸を出す器官。クモは複数種類の糸疣を持っていて、用途に応じて異なる糸を作り分けることができる。縦糸・横糸・卵を包む糸・移動用の糸など、目的によって出す糸の種類が違う。
🔍 クモ綱(くもこう)
クモは昆虫(足6本)ではなく「クモ綱」という分類の生き物(足8本)。同じクモ綱にはサソリやダニも含まれる。クモの糸のたんぱく質(フィブロイン)は特殊な分子構造を持ち、強さと弾力性を両立させている。世界には5万4,000種をこえるクモが確認されており(世界クモ目録・2026年)、南極を除くほぼすべての陸地に生息している。
🔍 人工クモの糸(じんこうくものいと)
クモの糸をバイオテクノロジーで人工的に再現しようとする研究のこと。クモは縄張り意識が強く集団飼育が難しいため、クモの遺伝子を微生物やカイコに組み込んで糸のたんぱく質を生産させる方法が研究されている。日本の企業も人工クモの糸の製品化に成功しており、スポーツウェアや防弾チョッキ、外科手術用縫合糸への応用が期待されている。自然が生み出した究極の素材を人間が学び、再現しようとする挑戦はまだ続いている。
クモの糸が注目される理由:未来の新しい材料として
クモの糸が研究者に注目されている理由は、その飛びぬけた力にあります。強さ・軽さ・弾力の3つを同時に持つ糸は、人間が同じものを作るのがとても難しいのです。
現在、世界各地でクモの糸を人工的に再現しようとする研究が進んでいます。クモの遺伝子を使ってシルクを作るカイコを育てる試みや、微生物にクモの糸たんぱく質を作らせる方法などが研究されています。日本の企業もクモの糸の人工合成に取り組み、実際に製品化された例もあります。
応用が期待される分野は広く、外科手術用の縫合糸(生体に吸収される強い糸)、防弾チョッキ(軽くて強い素材)、宇宙服(軽量・高強度が必要)、人工腱・靭帯(体の動きを支える強さと柔軟性が必要)などが挙げられています。



庭のクモの巣が、宇宙服や医療に使われる未来の材料のヒントになってるんだよ。
クモが最強の糸づくり名人……!自然ってすごすぎる!
まとめ:2つの工夫が組み合わさった高度な設計
- クモの巣は「粘着しない縦糸」と「粘着する横糸」の2種類でできている
- クモは粘着のない縦糸の上だけを歩くため、自分の巣に引っかからない
- クモの足には油性成分が分泌されており、横糸への粘着をさらに防ぐ
- クモの糸は同じ重さなら鋼鉄の約4倍の強さ、ねばり強さは約7倍。弾力性もある
- 巣は雨に濡れても強度が落ちず、壊れた場合はクモ自身が修理できる
- クモの糸を人工的に合成する研究が世界中で進み、防弾チョッキや医療素材・宇宙服への応用が期待されている
- クモは世界に5万4,000種以上存在し、それぞれの種が環境に合わせた異なる形の巣を設計している
次にクモの巣を見かけたとき、そっと近づいてみてください。縦糸と横糸のちがい、クモが縦糸の上を歩く様子——きっと新しい目で見られるはずです。
次にクモの巣見つけたら絶対じっくり観察する!縦糸と横糸、見分けてみる!



クモが苦手だったけど……なんかちょっとすごいなって思い始めた。
苦手な生き物でも、知ると見え方が変わるね。



それが「なんで?」を調べる楽しさだよ。次はどんな不思議を一緒に見つけようか。
🔖 関連記事
・なんでアリは行列を作るの?
・なんでダンゴムシは丸くなるの?
・もしも世界から蚊がいなくなったら?
・もしも恐竜がまだいたら?
※この「もっと知りたくなったら」では、アフィリエイト広告(PR)を含む商品を紹介しています。
もっと知りたくなったら
クモや虫の不思議をもっと深掘りしたい方に、生き物図鑑がおすすめです。クモの糸の構造や生態が写真と図解でわかります。









